2012/06/19

ページ速度はSEOのための物ではない

カテゴリ: SEO | | | このエントリーをはてブに追加 |

2010年春から、米国環境でページの表示速度がGoogleのランキングに影響を与えるようになりました。
それはしばらくgoogle.com環境のみに限定されていました。しかし、今月米国で開催されたSMX(Search Marketing eXpo)で「既にグローバルに反映済、日本環境でも反映済」とGoogleの方が言っていた事を鈴木謙一さんがレポートされています。

2012年6月現在、日本での検索でもページ表示速度がランキングに影響を与えるようになっている事は、確かなようです。

しかし、現実的にこのアルゴリズムが実際のWebサイト運営上、大きく影響するとは考えられません。

ただ「サーバを乗り換えたら順位が上がります!」という胡散臭い営業をする会社があることは以前から聞いていました。今回、日本に反映されている事が明らかになりましたのでまた増えるのかもしれません。

改めてそのような嘘に騙されないように、この件を書いておきます。

ページ速度アルゴリズムの考察

SEMリサーチ詳細解説の通り、多くの指標の中のひとつでしか無くて影響力が大きいわけではありませんし、その影響を受けるサイトもごくわずかだと推測できます。

2010年4月のGoogleの公式発表を見ますと、当時、影響を受けるのは1%未満の検索クエリだけとの事でした。
これからしばらく時間が経っていますので、もう少し増えているのかもしれません。しかし、新たなアルゴリズムの発表も無いですし、大きな変化があった場合世界中のSEOのプロフェッショナルが気づく場合もほとんどですので、大きくは変わっていないと考えるのが自然でしょう。

さて、1%の検索クエリに影響するとはどういう状態でしょう?
10件表示の検索結果で1%に影響を与えるとなると、100の検索結果のうちひとつで、10件表示ですので×10しますと、単純計算では1/1000のサイトの評価が影響を受ける事になりますね。緩く考えても、数百サイトに1つの順位が変わる形だと考えられます。
もしもページ速度が早ければ早いほどランキング評価にプラスになるのでしたら、影響は100%の検索クエリに影響を与える事になるはずです。しかし実際は1%程度ですので、限られたWebページだけが抽出されて影響を受けているはずです。

限られたWebページだけ影響を受けるとなると「極めて早いWebページにプラスの影響を与える」「極めて遅いWebページにマイナスの影響を与える」のどちらかもしくは両方が発生していると考えられます。
さて「(数百サイトにひとつの)極めて早いWebページにプラスの影響」が与えられる形は検索ユーザの満足に繋がるでしょうか?おそらく、そんなページは複雑なWebプログラミングなどを使っていない、静的なシンプルなページなのではないでしょうか。そういうページを高評価しても、現実的にプラスがあると思えません。
そのため「極めて遅いWebページにマイナスの影響を与える」形の影響だけが発生する、と考えるべきでしょう。

以上から、ページ速度とランキングのアルゴリズムは「数百サイトに一つの範囲で、極めて遅いページの順位を下げる」ものだと推測されます。ページ速度を上げたとしても数百サイトに一つの激遅Webサイト以外ではこのアルゴリズムが影響することは無いでしょう。

「サーバを変えたら流入が増えた」という事例を見ることもありますが、それも疑わしいと考えています。この話は数年前から何度か見たことがありますが、詳しく調べると必ず納得できる別の理由がありました。
サーバ変更直後は多くの人がアクセス解析を注視するでしょうが、サーバを変えただけで有利になったと主張する事例はごく僅かです。サーバを変えただけで流入が増えるのでしたらわずかな事例しか出てこないはずはありません。

なお、ランキングと直結するアルゴリズム以外にもサーバの速度がSEOに影響を与える部分は無いわけではありません。たとえば一部の巨大サイトでのクローラビリティに影響を与えていると思われる部分はあります。しかし、それが影響を与えるようなWebサイトはごくわずかですし、さらにその影響が検索流入に変化を与えるようなサイトはさらにわずかだと考えられます。

このような例外の事項も含めて、検索流入のためにページ速度を考える必要は無いと言えます。

ページ速度はSEO効果の有無に関わらず重要!

SEO観点ではページ速度を考える必要はない理由を説明してきました。

しかし、ページ速度が極めて重要な要素ということは確かです。ページ速度は様々な形でユーザの利便性に影響を与えますので、様々な配慮を行なっていくべき事は当然でしょう。
ページ速度がコンバージョン率向上や直帰率改善にどれだけ結びつくかは、様々なデータが上げられています。SEO上の価値は無くても、ページ速度の改善の目的として充分すぎるだけの説得力があるものです。

それにも関わらず、ページ速度向上の効果をSEO等の微妙な話にすると、もともとある高い価値も信じづらくなるのではないでしょうか。
ページ速度の改善は非常に有意義な事です。有意義な事を胡散臭くしないために、SEOのせいにはせずに、本来の価値のままでアピールして欲しいと私は思います。


SEOに直接影響は無いと何度も書きましたが、ページ速度の改善は私も勉強をしています。
Webサイトの修正をアドバイスする仕事をする上で、可能な限りページ速度を阻害しない形にするのは必須だと思うからです。ページ速度が直接ランキングに影響をしなくても、SEOを考える上でページ速度を考えなくてはならない状況は多くあります。

SEOへの直接的な影響は無くても、ユーザの行動を左右するページ速度は、間接的に全てに影響するものでしょう。極めて重要な技術として、今後も気をつけたいものです。

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