2009/05/17

聖の青春を読んだ

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この本、誰に推薦されたんだっけ?
誰かに薦められて買ったまま積んであったのですが、ふと手にとって読み始め、気づくと3時間が経ち、涙を流しつつ読了していました。

聖(さとし)の青春 (講談社文庫)

著者:
大崎 善生
評価:
4.5 / 5.0
読了:
May 16, 2009
レビュアー
Masahiro Tsuji
種別
product
hReview Version
0.3


聖の青春/概要

将棋棋士「村山聖(さとし)」の伝記。
村上聖は1998年に29歳で夭折した天才棋士。羽生名人の史上初の7冠が騒がれていた20世紀末、幼い頃からの難病に苦しみながら将棋『名人』を目指し、その座にあと一歩となった1998年、29歳でガンにより亡くなった。
身近な世界の、不運に屈せずに人生を戦いぬいた天才の伝記。

聖の青春/ポジティブ書評

村山聖の壮絶な人生を、様々なエピソードを積み上げて誕生から終わりまで、詳細に記された伝記。筆者本人の交流や、周囲の人からの聞き取りを基にした事実の積み上げで構成されているものの、全体として「村山聖」の人物像が浮かび、そしてその人がもう居ないということに悲しさがつのる。

ただ名人を目指し、病気と闘いながら将棋に打ち込む姿には、深い感銘を覚える。そして本当にあとわずかという所で名人に手が届かない無念さには、同情を感じる事すら申し訳なく思ってしまう。

そして、その村山聖を支える師匠と両親、周囲の人の想いには心から感動する。『ガラスの天才』を守り慈しむ想いは、親子の愛情、師弟愛という言葉では片付けられないような繋がりがあるのだろうか。

幼い頃に読んだ伝記に登場する過去の偉人たちは、誰もが完全無欠のように思え、このようになりなさいと言われても現実の人として感じる事ができなかったように思う。
村山聖さんは、同じ国で同じ時代を生きた人だった。SFと少女マンガを愛し、頑固で、親にあたりちらし、完全とは言えない人間だった。高名な偉人のように世界に名前を残す偉業を達成したわけでもなかった。日本の将棋の最高峰に近づきはしたものの、目指した名人に到達する事も無かった。
しかし、私は彼を『偉人』としてしか考えられない。大きな障害にあたり、深く苦悩しつつ1つの目標に真摯に向かい、困難な闘いを続けて自分を輝かせた姿は、高名な偉人よりも実感を持って、人生に語りかけてくるように思う。

ノンフィクションドキュメンタリーというより、一人の偉人の「伝記」として思えるような名著。また、人生の区切りに読み返したい。

聖の青春/ネガティブ書評

将棋の知識無しには理解できない部分が多いところが残念。棋譜の表現などはよりわかりやすくするか、少なくするべきだったように考える。彼の人生の物語は、将棋に興味を持つ人にだけ読まれるべき物語ではないのは確かなのだから。

村山聖さんの人生という大きな題材と比較すると、文章が物足りないように感じる。ただ、将棋という特殊な世界の、常人には理解され難い稀代の天才、そして幼い頃からの難病で余命が限られている人の伝記を、ここまで感動的な伝記とした事は、将棋雑誌の編集長を務め、村山聖本人とも交流があった彼一人だったのだろうと考える。

小説で久しぶりに涙を流しました。

村山聖さん、亡くなった頃には、「知ってるつもり」で特集されたりしていたので、ご存知の方も多いかもしれません。
幼い頃に重い腎臓病(ネフローゼ)によって入退院を繰り返し、長生きできないとされながら将棋に打ち込み、羽生名人に勝るとも劣らない将棋の天才として注目されたものの、腎臓病とは別にガンが発覚。手術を行い復帰し、名人位にあと一歩のところまで来たところでガンが再発、29歳に夭折されました。

フィクションならば書くのをためらうような不運に見舞われた人生を、今の健康な私(?)には申し訳なくてまっすぐに見つめる事すらできません。

私も昔は病弱で、長生きできないと言われていました。その頃は毎日が辛くて、思い出したくも無いような事に満ちていました。この本では、その頃の周りの人の行動や、自分の思いを非常に思い出す事が多いものでした。私は将棋はしませんでしたが、文字通り必死に生きていたように思います。
私はその後、中学生頃に回復してある程度健康な生活を送るようになってから、すっかりと人生が変わったのですが、あの頃、長生きできないとされたときの必死さを考えると、今は安穏としている事を改めて実感しました。

ああ、もっと必死に生きないと。
必死に、壮絶に人生を送った村山聖さんはもちろん、昔の自分にも申し訳ないです。

ここしばらくは忙しく、仕事以外の本に触れる事は殆ど無かったのですが、久しぶりに読んだ本で素晴らしい作品に出合えて幸せです。
お薦めの小説です。ぜひ一度ご覧下さいませ。

久しぶりに感動した本に出会って、そういえばhReviewも試してみたいから軽く書いてみようと始めたはずが長くなってしまいました・・・読み返すと書評にもなっていませんでした。すみません。
病気関係は、色々と思いがあって冷静になれないのかな。



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